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路地裏動物園のお裾分け #36

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『大好きな季節』




マルを飼ってから時々後悔する事がある。






もっと早く迎えられたら良かったのに・・・と。





マルは一番遊び盛りの時間を狭く汚い小部屋で過ごした。

そのせいかどうか分からないけれど
マルの背中は少し曲がっている。
歩き方もヒョコヒョコという感じでその辺を歩く猫のスムーズさはマルには無い。
飛んだり走ったり出来るけど、普通の猫よりもうんとヘタクソだ。

それでも、うちに来て思う存分走ったり、楽しそうにおもちゃで遊ぶマルを見る度に
悩んで迷ってマルを早く連れ出してやれなかった事をひどく後悔した。

一歳4カ月くらいの時に
座り方がおかしくなった。
後ろ足の付け根の関節がはずれているような座り方で、
とても座りにくそうだし
座っていても身体全体が歪んでいる。

動物病院でみてもらったら

遺伝性骨形成異常症と診断された。

スコについて調べていたので
病名を聞いても驚かなかったけれど
これからのマルの事を想うと
やはりとてもショックだった。
進行が進んで重度になれば歩けなくなってしまう。

でも5カ月悩んで作り上げた覚悟は
やっぱりそれなりに分厚かったようで
とにかくこの先どうなるか分からないけれど
一日でも長くマルが私の元で幸せにいてくれるように
そばにいようと思えた。

とりあえずしばらくお薬を飲んで様子を見ましょうと言う事だった。

動物病院のブラックリスト患者のマルが
素直に薬を飲むとは誰一人考えられず、
動物病院の方々はありとあらゆる方法を考えてくれた。
砕いてもいいし、おやつに混ぜてもいいし、水に溶かしてもいい。
それでも駄目なら飲ませやすい別のお薬に替えてみましょう・・・などなど。

その薬、錠剤の一粒を4分割にしたうちの一つが一日分なのだが
とてもデカイ。とてもマルがホイホイ飲み込むとは思えない。
無理矢理飲ませようとして怪我をしないようにとまで心配していただいた。

マルに薬を飲ませる方法を考えるだけで憂鬱になったヘタレな私。
(病院での反抗する態度が本当に化け猫なのである。)

しかしマルはその薬を嬉々として飲んだ。
何ならおかわりもいけそうなくらいの勢いで拍子抜けしてしまった。
最近では喜々とはしなくなったが
『仕方ない、飲んでやるか。』くらいのテンションできちんと毎日欠かさずに
薬を飲み続けている。

おかげさまで症状は改善され、座り方が元に戻った。
決して完治はないが
このまま薬を一生飲み続けて進行せずに元気でいてくれたらいいなと願う。





私は一日で一番幸せな時間がある。




普段はツンデレのツンの部分が際立って光るマルだが
私が寝ようとベットに入るとどこにいてもそばに飛んで来て
布団の上からではあるが私の胸元に寄りかかるように寝転がる。

『触ってもいいわよ。』の合図である。

スコの毛はビロードのように柔らかい。
よって、もちろんマルの触り心地も素晴らしく気持ちよい。

あんまりにも気持ち良いので普段から撫でまくっているが
それは私からの一方的なものばかりである。

しかしその就寝前のヒトトキだけは
マルが自ら『お触んなさい。』とこちらに身体を預けてくれるのだ。

夏場は一しきり触ると
『じゃ、暑いし、行くわ。』とスタスタと去っていく後ろ姿を切なく見守っていたが

最近は滅法冷えるので
一しきり触るとその場でクルンと丸まって眠るのである。
そうなるとベットの足元に置いてあったマル専用の毛布を手繰り寄せ
マルを包み込んでマルショウロンポウを作るのが私の毎日の日課だ。
上手く包めずもたもたしていると猫パンチが飛んでくるので
すばやく美しくマルショウロンポウを仕上げなくてはならない。

マルは毛布の中ですっぽり丸まって
ゴロゴロと喉を鳴らしながら眠りに落ちる。

私はそのマルのゴロゴロという子守唄を聞きながら
マルが私にもたれて眠る温かな重みを感じつつ眠りに落ちる。


マルが幸せなら
私も幸せだ。








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by kohmebuki | 2011-12-16 19:47 | 路地裏動物園
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